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ブラジルとポルトガルの違い(português do Brasil e de Portugal)

2026年10月9日

ポルトガル語は、ブラジルとポルトガルで書き方も言い方も少し違います。このサイトの記事は、すべてブラジルの形で書いています。ポルトガルの本や動画を見て「習った形と違う」と思ったとき、どこが違うのかを見分けられるように、よく出会う違いをまとめました。

使う場面

ポルトガルの観光案内や、ポルトガルの人の文章・動画を読むとき、教科書にポルトガルの形が出てくるときに使います。必携ポルトガル語文法総まとめは、ブラジルで主に使う例文にBR、ポルトガルで主に使う例文にPTの印を付けています。この記事も、その区別に合わせています。

使う場面
項目ブラジルポルトガル
進行形estou lendoestou a ler
代名詞の位置me ligouligou-me
相手を指す語vocêtu・você・o senhor
乗り物の語tremcomboio
疑問の理由por queporque

つづりの違い

ブラジルとポルトガルのつづりは、1990年の取り決め(新正書法)で近づけることになりました。必携は、変わるのは表記であって発音ではないと説明しています。

ブラジルでは、2009年以降、uの上に点を2つ付ける記号(トレマ)を使いません。freqüênciaではなく、frequênciaと書いています。外国の人名は例外です。

ポルトガルでは、発音しないcやpを書かなくなりました。

つづりの違い
旧いつづり(ポルトガル)新しいつづり
誤った形⁠acção(行為)ação
誤った形⁠directo(直接の)direto
誤った形⁠óptimo(とてもよい)ótimo

ブラジルの人には、右の列が見慣れた形です。発音する子音のcやpは、そのまま残ります。例えばopção(選択)のpは、発音するので残ります。

新正書法とは別に、com+nósの1語の形も、つづりが違います。ブラジルはconosco、ポルトガルはconnoscoです。

você と tu

相手を呼ぶ単語の使い方が、国によって違います。

você と tu
国tuvocêsenhor・senhora
ポルトガルくだけた場面改まった場面改まった場面
ブラジルくだけた場面くだけた場面改まった場面

必携によると、ブラジルの大半の方言で、「あなた」にあたる親しい言い方は você だけです。ポルトガルでは você は tu より改まった言い方で、慣れるまでは使わないほうがよいと必携は書いています。tuはブラジルでも、リオデジャネイロやリオグランデドスル州、北部や北東部のいくつかの地方で使います。必携は、ブラジルでは改まった場面を除いて、tuの動詞を3人称単数の形にすると書いています。

話しかける相手にどの形を使えばよいか迷ったときの勧めも、国によって違います。必携は、ブラジルなら代名詞を使わずに文を作ればよく、ポルトガルなら相手の名前や職業を表す語を使うとよいと書いています。

「私たち」を言うa genteは、くだけた会話で使う言い方です。使い方はa gente(私たち)にあります。

進行形 estar+ジェルンディオ

今していることを言う形が違います。

進行形 estar+ジェルンディオ
形ブラジルポルトガル
作り方estar+ジェルンディオestar+a+不定詞
例Eles estão comendo.Eles estão a comer.

ブラジルの作り方は、estar+ジェルンディオにあります。必携は、ポルトガルでもベージャという町では、ブラジルと同じ形が見られると書いています。

ジェルンディオは、主語や目的語にはなりません。そのときは、ブラジルでもポルトガルでも不定詞を使います。Cantar é bom.のように言います。

代名詞の位置

me・te・lheのような目的語の代名詞は、置く位置が違います。ブラジルの話し言葉では動詞の前に置くことが多く、ポルトガルでは、ふつうの肯定文なら動詞のあとにハイフンでつなぎます。ブラジルの語順は、目的語となる人称代名詞にあります。

代名詞の位置
ブラジルポルトガル
Ele me ligou.Ele ligou-me.
Ela me ajudou.Ela ajudou-me.

否定語のあとでは、ブラジルでもポルトガルでも、代名詞は動詞の前に置きます。Ninguém me ligou.は、どちらの国でも同じ語順です。否定語の記事に、ninguémの使い方があります。

単語の違い

必携が例文に並べて挙げている、国によって違う単語があります。

単語の違い
日本語ブラジルポルトガル
電車tremcomboio
なぜ(疑問)por que(2語)porque(1語)

ブラジルで「電車」を言う普通の語はtremで、ポルトガルではcomboioと言います。必携は、電車に乗り損ねて遅刻したという同じ内容の文を、ブラジルはtrem、ポルトガルはcomboioで書いています。必携は、理由を聞く疑問の副詞を、ブラジルではpor que、ポルトガルではporqueと整理しています。答えの「〜だからです」は、どちらの国でも1語のporqueです。

発音について

このサイトのカタカナは、ブラジルの発音です。読み方は、母音、sとzの発音、rとlの発音、チ・ヂの音と語末のe・o、アクセントの記事にあります。ポルトガルの発音との違いは、この記事では詳しく扱いません。必携が挙げているのは、ブラジルでは不定詞の語末の-rを発音しないことがある、という1点です。falarが「ファラー」ではなく、「ファラ」に近くなることがあります。

日本語との違い

日本語にも、「君」「あなた」「〜さん」のように、相手との距離で言い方を選ぶ習慣があります。ポルトガル語は、tu・você・o senhorの使い分けが、国によって違います。必携の表では、同じ você が、ポルトガルでは改まった場面、ブラジルではくだけた場面の言い方に入っています。

ポルトガル語は、国によってつづりが少し違う語があります。ただし新正書法で、違いは少なくなりました。

例文

ブラジルの形を書き、ポルトガルの形は下の説明に書きます。

  1. Eles estão comendo agora.(彼らは今、食べています)
  2. comendo → ブラジルの進行形。ポルトガルでは、Eles estão a comer agora.
  3. Ele me ligou ontem.(彼は昨日、私に電話しました)
  4. me → ブラジルは動詞の前。ポルトガルでは、Ele ligou-me ontem.
  5. Ela me ajudou hoje.(彼女は今日、私を手伝ってくれました)
  6. me → ブラジルは動詞の前。ポルトガルでは、Ela ajudou-me hoje.
  7. Ninguém me ligou ontem.(昨日、誰も私に電話しませんでした)
  8. me → 否定語のあとは、どちらの国でも動詞の前。
  9. Nós vamos de trem para São Paulo amanhã.(私たちは明日、電車でサンパウロに行きます)
  10. trem → ブラジルの語。ポルトガルでは、Nós vamos de comboio.
  11. Por que a Ana não chegou?(なぜアナは着かなかったのですか)
  12. Por que → ブラジルの疑問。必携の整理では、ポルトガルは1語のPorque。

練習問題

ブラジルの形を選んでください。

  1. 「私は読んでいます」: Eu estou ( lendo / a ler / ler ).
  2. 「彼女は私に電話しました」: Ela ( me ligou / ligou-me / ligou me ).
  3. 2009年以降のつづりは( freqüência / frequência / frecuência )です。
答え
  1. lendo(ブラジルはestar+ジェルンディオ。a lerはポルトガル)
  2. me ligou(ブラジルは動詞の前。ligou-meはポルトガル)
  3. frequência(トレマはなくなった)

参考にした資料

  • 級の所属: ブラジルとポルトガルの違いは、文法を級ごとに一覧にした公開資料がありません。進行形と代名詞の位置を使うので、字母と発音の続きとして、lettersのシリーズに置いています。
  • 規則の出典: 市之瀬敦ほか『必携ポルトガル語文法総まとめ』(白水社)凡例(p.11)、「ジェルンディオと進行形」の章のブラジルとポルトガルの違い(p.43)、「人称代名詞」の章(pp.44–57)、「疑問詞」の章(pp.105–110)、「発音と表記」の章(pp.187–194)。香川正子『ニューエクスプレスプラス ブラジルポルトガル語』(白水社)第18課のa gente(p.117)