直接目的語代名詞(mi・ti・lo・la・ci・vi・li・le)
初級 2026-09-21
- CEFR A2
- CILS A2
- 伊検4級
直接目的語代名詞は、「その本」「彼女」のように、すでに話に出た名詞を「〜を」の形で言い換える単語です。名詞をそのまま繰り返さずにmi・ti・lo・la・ci・vi・li・leを使うと、文が短くすっきりします。初級(CEFRのA2)の範囲では、8つの形と、動詞の前に置く基本の位置、近過去での過去分詞の一致を押さえれば足ります。
どんなときに使うか
前に出た名詞(人でもものでも)を、もう一度名詞のまま言わずに「〜を」で受けるときに使います。Vedo Marco.(マルコを見ます)のあとに同じ相手を受けるときは、ふつうLo vedo.(彼を見ます)のように直接目的語代名詞を動詞の前に置きます(Vedo lui.は「彼を」と強めるときの言い方です)。ものについても同じで、Compro il libro.(その本を買います)と言った本をもう一度指すときはLo compro.のようにします。
- Vedo Anna ogni giorno.(アンナを毎日見ます)
- Ho un libro nuovo.(新しい本があります)
- Voglio vedere i miei amici.(友人たちに会いたいです)
作り方
指す相手・ものの人称と性・数で、直接目的語代名詞の形が決まります。
| 元の形 | 直接目的語代名詞 | 日本語 |
|---|---|---|
| io(私を受ける) | mi | 私を |
| tu(あなたを受ける) | ti | あなたを |
| lui、または男性・単数のもの | lo | 彼を・それを |
| lei、または女性・単数のもの | la | 彼女を・それを |
| noi(私たちを受ける) | ci | 私たちを |
| voi(あなたたちを受ける) | vi | あなたたちを |
| loro男性、または男性・複数のもの | li | 彼らを・それらを |
| loro女性、または女性・複数のもの | le | 彼女らを・それらを |
直接目的語代名詞は、ふつう活用した動詞のすぐ前に置きます(Lo vedo.)。potere・dovere・volereなどの補助動詞と不定詞を一緒に使うときは、不定詞の語尾にそのままつなげて書くか(voglio vederlo)、補助動詞の前に置くか(lo voglio vedere)のどちらかを選べます。lo・laは母音で始まる動詞の前でl'に省略されます(l'aspetto)。li・leは省略せず、そのままの形で使います。
近過去でavereを使う文では、直接目的語代名詞がlo・la・li・leのときだけ、過去分詞の語尾がそれに合わせて変わります。l'ho vista(彼女を見た)はla+ho vistoの省略で、過去分詞をvistaにします。li ho visti(彼らを見た)も同じように、liに合わせてvistiにします。mi・ti・ci・viのときは、この一致は義務ではありません。
日本語とのちがい
直接目的語代名詞を動詞のすぐ前に置く語順は、実は日本語の語順に近いです。名詞のままだとVedo Marco.(マルコを見ます)のように動詞のあとに目的語が来ますが、目的語を代名詞に変えるとLo vedo.(彼を見ます)のように動詞の前に来て、日本語の「彼を見ます」と同じ順番になります。
一方、代名詞自体の形が、指すものの性・数によって変わる点は日本語にない現象です。日本語の「を」は名詞が何であっても同じ助詞ですが、イタリア語はlo・la・li・leのように、男性か女性か、単数か複数かで代名詞の形を選びます。
もう1つの違いは、近過去で過去分詞の語尾まで変わる点です。日本語の「見た」は何を見たかで形が変わりませんが、イタリア語のl'ho vista/li ho vistiは、代名詞が指すものの性・数に過去分詞まで合わせます。
間接目的語代名詞との使い分け
直接目的語は動作がそのまま及ぶ相手・もの(〜を)で、間接目的語は動作の向かう先(〜に)です。
| 目的語の種類 | 3人称の形 | 例 |
|---|---|---|
| 直接目的語(〜を) | lo・la・li・le | Lo vedo.(彼を見ます) |
| 間接目的語(〜に) | gli・le | Gli parlo.(彼に話します) |
mi・ti・ci・viの1人称・2人称は直接目的語でも間接目的語でも同じ形を使いますが、3人称はlo・la・li・le(〜を)とgli・le(〜に)で形が違います。3人称の使い分けは、「間接目的語とpiacere」の記事で扱います。
例文
各文の下に、単語ごとに「どの代名詞か」と「なぜその形か」を書きます。
- Ho un libro nuovo. Lo leggo stasera.(新しい本があります。それを今夜読みます)
- Lo → libroを受ける直接目的語代名詞。libroは男性・単数なのでlo。
- leggo → leggereのio現在形。
- Vedo Anna ogni giorno. L'aspetto sempre.(アンナを毎日見ます。いつも彼女を待ちます)
- L'aspetto → laの省略形+aspettare(待つ)のio現在形。Annaは女性・単数なので直接目的語代名詞はlaで、母音で始まる動詞の前なのでl'に省略する。
- Compro una maglietta rosa. La compro per Marco.(ピンクのTシャツを買います。それをマルコのために買います)
- La → magliettaを受ける直接目的語代名詞。magliettaは女性・単数。動詞comproは子音で始まるので省略しない。
- Ho incontrato Anna. L'ho vista stamattina.(アンナに会いました。彼女を今朝見ました)
- L'ho vista → laの省略形+ho vista(vedereの近過去、avere+過去分詞)。直接目的語代名詞がla(Anna、女性・単数)なので、過去分詞の語尾もaに変わりvistoではなくvistaになる。
- Voglio vedere i miei amici. Li voglio vedere domani.(友人たちに会いたいです。彼らに明日会いたいです)
- Li → amiciを受ける直接目的語代名詞。amiciは男性・複数。
- voglio vedere → volereのio現在形+不定詞。Liは補助動詞voglioの前に置かれている(vederliと動詞にそのままつなげる書き方もできる)。
- Ho perso le chiavi. Le ho perse ieri.(鍵をなくしました。昨日それをなくしました)
- Le → chiaviを受ける直接目的語代名詞。chiaviは女性・複数。
- perse → perdereの過去分詞。直接目的語代名詞がleなので、語尾もeに変わりpersoではなくperseになる。
練習問題
正しいものを選んでください。
- Ho un libro. ( Lo leggo / La leggo / Li leggo )stasera.
- Vedo Marco e Anna. ( Lo vedo / La vedo / Li vedo )ogni giorno.
- Ho incontrato Anna. ( L'ho visto / L'ho vista / L'ho viste )stamattina.
答え
- Lo leggo(libroは男性・単数)
- Li vedo(Marco e Annaは男性を含む複数なのでli)
- L'ho vista(Annaは女性・単数なので過去分詞はvista)
参考にした資料
- 級の所属: CILS A2 Sillabo delle strutture morfosintattiche(シエナ外国人大学が実施するイタリア語検定CILSの、A2で出る文法の一覧)「forme atone lo, la, li, le」。この行は産出(自分で作る)レベルの一覧に載っています。mi・ti・ci・viはこの行に単独では名指しされていませんが、1人称・2人称の非強勢代名詞として標準的に使われる形です(2026-09-21閲覧)
- イタリア語版Wikipedia, Pronome personale in italiano「Pronomi personali complemento」(2026-09-21閲覧)
- 実用イタリア語検定 各級のレベル4級「平易なイタリア語を聴き・話し・読み・書くことができる。自己紹介・簡単な道案内・買い物・バールでの簡単な注文などの平易なコミュニケーションができる能力が要求される」。このページはこの項目を名指ししていません(2026-09-21閲覧)