間接目的語とpiacere(pronomi indiretti)
初級 2026-09-21
- CEFR A2
- CILS A2
- 伊検4級
間接目的語代名詞は、「〜に」に当たる相手をmi・ti・gli・le・ci・vi・gliの形で言い換える単語です。とくにpiacere(気に入る、好きだ)という動詞は、日本語の「好きだ」とは主語の選び方が違い、好きだと感じる人を間接目的語代名詞(またはa+名詞)で表します。初級(CEFRのA2)の範囲では、間接目的語代名詞の形と、mi piace/mi piaccionoの使い分けを押さえれば足ります。
どんなときに使うか
動作の向かう先の相手(〜に)を言うときに、間接目的語代名詞を動詞の前に置きます。Parlo a Marco.(マルコに話します)を、Marcoをもう一度言わずに受けるときはGli parlo.(彼に話します)のようにします。piacereという動詞は「〜が好きだ・気に入る」という意味で、好きな相手ではなく好きなものを主語にして、好きだと感じる人を間接目的語代名詞で表します。
- Telefono a mia madre ogni sera.(毎晩母に電話します)
- Le telefono ogni sera.(毎晩彼女に電話します)
- Mi piace la pizza italiana.(私はイタリアのピザが好きです)
作り方
動作の向かう先の人称で、間接目的語代名詞の形が決まります。
| 元の形 | 間接目的語代名詞 | 日本語 |
|---|---|---|
| a me(私に) | mi | 私に |
| a te(あなたに) | ti | あなたに |
| a lui(彼に) | gli | 彼に |
| a lei(彼女に) | le | 彼女に |
| a noi(私たちに) | ci | 私たちに |
| a voi(あなたたちに) | vi | あなたたちに |
| a loro(彼らに、今のイタリア語) | gli | 彼らに |
間接目的語代名詞も、直接目的語代名詞(直接目的語代名詞の記事)と同じく、活用した動詞のすぐ前に置きます。3人称複数「彼らに」は、規範文法ではloroを使いますが、今のイタリア語ではgliを動詞の前に置く言い方が広く使われ、書き言葉にはa loroという言い方も残っています。
piacereの文では、好きだと感じる人ではなく、好きなものが主語になります。好きなものが単数か不定詞ならmi piace(Mi piace la pizza.)、複数ならmi piacciono(Mi piacciono le pizze.)のように動詞の語尾を変えます。過去のことを言うときはessereを使い、「近過去(essere)と過去分詞の一致」の記事と同じように、過去分詞の語尾を主語(好きなもの)の性・数に合わせます(Mi è piaciuta la pizza.)。「マルコに」のように人を名前で言うときはaを付けます(A Marco piace il calcio.)。
日本語とのちがい
「〜が好きだ」という日本語の言い方は、実はpiacereの文とよく似ています。日本語では「私はピザが好きだ」の「ピザ」が「が」を取って好きの対象になっていますが、これは主語に近い働きをしています。イタリア語のMi piace la pizza.でも、la pizzaが動詞piaceに数を合わせる主語で、「私は」に当たるmiは間接目的語代名詞です。主語の選び方という点では、日本語とイタリア語で近い感覚があります。
一方、間接目的語代名詞そのものが名詞を言い換えて動詞の前に置かれる点は日本語にない現象です。日本語の「マルコに」はマルコという名前のあとに助詞「に」を付けるだけですが、イタリア語では代名詞に置き換えるとGliのように単語自体が変わり、動詞の前に移動します。
もう1つの違いは、「好きだ」に当たる動詞piacereが、好きなものの数に合わせて形を変える点です。日本語の「好きだ」はピザが1つでも複数でも同じ形ですが、イタリア語はpiace(単数)とpiacciono(複数)を使い分けます。
直接目的語代名詞との使い分け
leは女性複数の直接目的語(彼女たちを)にも、女性単数の間接目的語(彼女に)にも使われるので、まぎらわしくなります。「彼女を」はla、「彼らに」は今の話し言葉ではgli(規範的にはloro)です。
| 代名詞の働き | 3人称の形 | 例 |
|---|---|---|
| 直接目的語(〜を) | lo・la・li・le | La vedo.(彼女を見ます) |
| 間接目的語(〜に) | gli・le | Le parlo.(彼女に話します) |
vedere(見る)のように相手やものをそのまま受ける動詞は直接目的語代名詞を、parlare(話す)やtelefonare(電話する)、piacereのように「〜に対して」働く動詞は間接目的語代名詞を使います。日本語に訳したときに「〜を」なら直接、「〜に」なら間接と考えると見分けやすいです。
例文
各文の下に、単語ごとに「どの代名詞か」「どの形か」を書きます。
- Mi piace il calcio.(私はサッカーが好きです)
- Mi → 間接目的語代名詞(私に)。
- piace → piacereの3人称単数現在形。主語il calcioが単数なのでpiace。
- Mi piacciono gli spaghetti.(私はスパゲッティが好きです)
- piacciono → piacereの3人称複数現在形。主語gli spaghettiが複数なのでpiacciono。
- A Marco piace la musica classica.(マルコはクラシック音楽が好きです)
- A Marco → 「マルコに」。間接目的語を代名詞ではなく名前で言うときはaを付ける。
- piace → 主語la musica classicaが単数。
- Gli parlo ogni giorno.(彼に毎日話します)
- Gli → 間接目的語代名詞(彼に)。parloの前に置く。
- Mi è piaciuta la pizza di ieri sera.(昨夜のピザが気に入りました)
- è piaciuta → piacereの近過去(essere+過去分詞)。主語のla pizzaが女性・単数なので過去分詞はaで終わる。
- Le telefono ogni sera.(彼女に毎晩電話します)
- Le → 間接目的語代名詞(彼女に)。telefonoの前に置く。
練習問題
正しいものを選んでください。
- ( Mi piace / Mi piacciono / Mi piaci )gli spaghetti.
- A Marco ( piace / piacciono / piacci )il calcio.
- Ieri ( mi piace / mi è piaciuto / mi ha piaciuto )il film.
答え
- Mi piacciono(gli spaghettiは複数)
- piace(il calcioは単数)
- mi è piaciuto(過去のことなのでessere+過去分詞、il filmは男性・単数)
参考にした資料
- 級の所属: CILS A2 Sillabo delle strutture morfosintattiche(シエナ外国人大学が実施するイタリア語検定CILSの、A2で出る文法の一覧)「Pronomi personali complemento diretto e indiretto」。この行は受容(読んで分かる)レベルの一覧に載っており、産出(自分で作る)レベルの一覧に載るのはlo・la・li・le(直接目的語代名詞の記事)のみです。間接目的語代名詞の産出レベルはPLIDA A2 Quaderno delle specifiche(ダンテ・アリギエーリ協会のイタリア語検定PLIDAの、A2の仕様書)「Pronomi personali complemento oggetto diretto e indiretto atoni (lo, la, ecc.; mi, ti, ecc.)」に載っています(2026-09-21閲覧)
- イタリア語版Wikipedia, Pronome personale in italiano「Pronomi personali complemento」(2026-09-21閲覧)
- 実用イタリア語検定 各級のレベル4級「平易なイタリア語を聴き・話し・読み・書くことができる。自己紹介・簡単な道案内・買い物・バールでの簡単な注文などの平易なコミュニケーションができる能力が要求される」。このページはこの項目を名指ししていません(2026-09-21閲覧)