命令法Leiと代名詞の位置(imperativo formale)
初級 2026-09-21
- CEFR A2
- 伊検4級
命令法(imperativo)のLeiに対する形は、店員やタクシーの運転手など、タメ口で話さない相手に丁寧に指示や依頼をするときに使います。tu・voiの命令形(「命令法tu・voi」の記事で扱いました)と違い、代名詞を付ける位置も逆になります。初級(CEFRのA2)の範囲では、Leiの命令形の作り方と、代名詞がtu・voiでは動詞のあとに、Leiでは動詞の前に来る違いを押さえれば足ります。
どんなときに使うか
店員、駅員、初対面の人など、Leiで話す相手に指示や依頼をするときにLeiの命令形を使います。道を尋ねられて答えるとき、店員に何かを頼むとき、丁寧にお願いするときによく出てきます。
- Mi scusi, dov'è la stazione?(すみません、駅はどこですか)
- Prenda la prima a destra.(最初の角を右に曲がってください)
- Venga con me, per favore.(どうぞ私と一緒に来てください)
作り方
Leiに対する肯定の命令は、-are動詞なら語尾をiに、-ere・-ire動詞なら語尾をaに変えて作ります。色の付いた部分が命令法の語尾で、専用の形(vada・facciaなど)は単語ごと覚えます。
| 元の形 | 命令法(Lei) | 日本語 |
|---|---|---|
| parlare(話す)→ Lei | parli | 話してください |
| parlare(話す)→ Lei | non parli | 話さないでください |
| prendere(取る)→ Lei | prenda | 取ってください |
| finire(終える)→ Lei | finisca | 終えてください |
| andare(行く)→ Lei | vada | 行ってください |
| fare(する)→ Lei | faccia | してください |
| dire(言う)→ Lei | dica | 言ってください |
| stare(いる)→ Lei | stia | いてください |
| essere(〜です)→ Lei | sia | ~であってください |
| avere(持つ)→ Lei | abbia | 持ってください |
| venire(来る)→ Lei | venga | 来てください |
| bere(飲む)→ Lei | beva | 飲んでください |
Leiに対する肯定の命令は、-are動詞なら語尾をiに、-ere・-ire動詞なら語尾をaに変えて作ります(-isc-を挟む動詞ではfiniscaのようにiscaになります)。これはtuの命令形(-are動詞はa、-ere・-ire動詞はi)とちょうど逆の語尾です。否定はnonを動詞の前に置くだけで、肯定と同じ形を使います(parliでもnon parliでも同じi)。andare・fare・dire・stare・essere・avere・venire・bereのようによく使う動詞は、現在形の語尾規則とは別の専用の形(vada・faccia・dica・stia・sia・abbia・venga・beva)を使います。
tu・voiの命令形では、代名詞は動詞のあとにそのままくっつけます。Dimmi la verità!(本当のことを言って!)、Alzati!(起きて!)、Scusami!(ごめん!)、Ascoltatemi!(みんな、聞いて!)のように、動詞と代名詞が1つの単語になります。Leiの命令形では逆に、代名詞は動詞の前に独立して置きます。Mi dica.(おっしゃってください)、Si accomodi.(どうぞお座りください)、Mi scusi.(すみません)のように、代名詞と動詞は別々の単語のままです。
da'・fa'・di'・sta'のように語尾を落とした短い命令形に代名詞を付けるときは、代名詞の最初の子音を重ねます(dammi・dillo・fallo)。gliだけは重ねません(dagli・digli)。dare→dammi、fare→fammi、dire→dimmiのように、d・f・dのあとの子音(m)が2つになります。
tuに対する否定の命令に代名詞を付けるときは、non+不定詞の前でも後ろでも代名詞を置けます。non farlo(それをするな)と、non lo fare(それをするな)は同じ意味です。
日本語とのちがい
tu・Leiで形が変わる点は、日本語のタメ口と敬語の使い分けに近い感覚です。相手との距離や丁寧さに応じて動詞の形を選ぶという発想は、日本語話者にはなじみやすいはずです。
一方、代名詞の位置がtu・voiとLeiで逆になる点は日本語にない現象です。日本語の「言って」「おっしゃってください」のような言い方に、動詞にくっつく代名詞という発想自体がありません。イタリア語では、タメ口のtu・voiの命令形では代名詞が動詞のあとにくっつき1つの単語になりますが、丁寧なLeiの命令形では代名詞が動詞の前に独立して置かれます。
tu・voi命令法との使い分け
| 相手 | 動詞の形 | 代名詞の位置 |
|---|---|---|
| tu(タメ口・1人) | -are動詞はa、-ere・-ire動詞はi | 動詞のあとにくっつける(Dimmi) |
| voi(タメ口・複数) | 現在形のvoiと同じ(essereはsiate、avereはabbiate) | 動詞のあとにくっつける(Ascoltatemi) |
| Lei(敬語・1人) | -are動詞はi、-ere・-ire動詞はa | 動詞の前に独立して置く(Mi dica) |
例文
各文の下に、単語ごとに「どの形か」と「なぜその形か」を書きます。
- Mi scusi, dov'è la stazione?(すみません、駅はどこですか)
- Mi → 代名詞、動詞の前に独立して置く。Leiの命令形の位置。
- scusi → scusareのLei命令形。-are動詞なので語尾iになる。
- Prenda la prima a destra.(最初の角を右に曲がってください)
- Prenda → prendereのLei命令形。-ere動詞なので語尾aになる。
- Venga con me, per favore.(どうぞ私と一緒に来てください)
- Venga → venireのLei命令形。現在形の語尾規則とは別の専用の形。
- Dimmi la verità!(本当のことを言って!)
- Dimmi → direのtu命令形di'に、代名詞miをくっつけて子音を重ねた形。
- Si accomodi, prego.(どうぞお座りください)
- Si → 代名詞、動詞の前に独立して置く。Leiの命令形の位置。
- accomodi → accomodarsiのLei命令形。-are動詞なので語尾iになる。
- Non lo faccia, per favore.(それをなさらないでください)
- lo → 直接目的語代名詞、Leiの命令形の前に置く。
- faccia → fareのLei命令形の否定。肯定と同じ形にnonを付けるだけ。
練習問題
正しいものを選んでください。
- ( Parli / Parla / Parlare )più forte, per favore, signora.
- Mi( scusa / scusi / scusate ), dov'è il bagno?
- ( Dimmi / Mi dica / Ditemi )cosa desidera, signore.
答え
- Parli(Leiに対する-are動詞の命令形は語尾がiになる)
- scusi(Leiに対する丁寧な言い方)
- Mi dica(Leiの命令形では代名詞は動詞の前に独立して置く)
参考にした資料
- 級の所属: CILS A1 Sillabo delle strutture morfosintattiche(シエナ外国人大学が実施するイタリア語検定CILSの、A1で出る文法の一覧)「coniugazione attiva … imperativo (forma attiva e negativa alla 2ª persona singolare e plurale)」(産出レベル)。A1が求めるのはtu・voiに対する命令形までで、Leiに対する丁寧な命令形はCILSのA1・A2いずれの一覧にも名指しでは載っていません。PLIDA A2 Quaderno delle specifiche(ダンテ・アリギエーリ協会のイタリア語検定PLIDAの、A2の仕様書)にも命令法の項目はありません(2026-09-21閲覧)
- Wikizionario(イタリア語版ウィクショナリー), Coniugazione di parlare・prendere・finire・andare・fare・dire・stare・essere・avere・venire・bere(CC BY-SA)表の全人称を照合(2026-09-21閲覧)
- 実用イタリア語検定 各級のレベル4級「平易なイタリア語を聴き・話し・読み・書くことができる。自己紹介・簡単な道案内・買い物・バールでの簡単な注文などの平易なコミュニケーションができる能力が要求される」。このページはLeiの命令形を名指ししていませんが、道案内(Prenda la prima a destra.のような指示)はこの項目が担う場面です(2026-09-21閲覧)