命令法tu・voi(肯定・否定)
入門 2026-09-21
- CEFR A1
- CILS A1
- 伊検5級
命令法(imperativo)は、相手に何かをするよう頼んだり、指示したりするときに使う動詞の形です。親しい相手1人に対するtuと、複数の相手に対するvoiとで形が変わり、否定の作り方も肯定とは別の決まりに従います。入門(CEFRのA1)の範囲では、tu・voiの肯定・否定の作り方と、いくつかの不規則な短い形を覚えれば足ります。
どんなときに使うか
友人や家族などタメ口で話す相手1人に対してはtuの命令形を、複数の相手に対してはvoiの命令形を使います。頼み事、指示、誘い、注意など、相手に直接何かをしてほしいときに使う形です。
- Parla piano, per favore!(お願いですから、小さな声で話して!)
- Prendete i libri, ragazzi!(みなさん、本を取ってください!)
- Non parlare in classe!(教室では話さないで!)
作り方
tuとvoiでは、動詞の語尾の変え方も、否定の作り方も違います。色の付いた部分が命令法の語尾または短い形です。
| 元の形 | 命令形 | 日本語 |
|---|---|---|
| parlare(話す)→ tu | parla | 話して |
| prendere(取る)→ tu | prendi | 取って |
| finire(終える)→ tu | finisci | 終えて |
| parlare(話す)→ voi | parlate | 話してください |
| prendere(取る)→ voi | prendete | 取ってください |
| finire(終える)→ voi | finite | 終えてください |
| andare(行く)→ tu | va'/vai | 行って |
| fare(する)→ tu | fa'/fai | して |
| dire(言う)→ tu | di' | 言って |
| dare(与える)→ tu | da'/dai | 与えて |
| stare(いる)→ tu | sta'/stai | いて |
| essere(〜です)→ tu | sii | ~であって |
| avere(持つ)→ tu | abbi | 持って |
tuに対する肯定の命令は、-are動詞なら語尾をaに、-ere・-ire動詞なら語尾をiに変えて作ります(-isc-を挟む動詞ではfinisciのようにisciになります)。voiに対する命令は、essere(siate)とavere(abbiate)を除いて現在形のvoiの形をそのまま使うので、新しく覚える語尾はありません。andare・fare・dare・stareの4つは、tuの命令形で語尾を落とした短い形(va'・fa'・da'・sta')と、現在形と同じ長い形(vai・fai・dai・stai)のどちらも使われます。direは短い形di'だけで、essereはsii、avereはabbiという、現在形とは別の専用の形を使います。
否定の命令はnonを動詞の前に置いて作りますが、tuとvoiで置き方が違います。tuに対する否定はnonのあとに不定詞をそのまま置き、parlaではなくnon parlare、prendiではなくnon prendereのように、辞書の見出しの形に戻します。voiに対する否定は肯定と同じvoiの命令形の前にnonを置くだけで、動詞の形は変わりません(non prendete)。
日本語とのちがい
命令法も、動詞の語尾を変えて意味を表す点は日本語の命令形・依頼形に近い感覚です。「話して」「読んで」のように、日本語も動詞の形を変えて頼み事を表します。
一方、否定のtuで不定詞(辞書の見出しの形)に戻す点は日本語にない現象です。日本語の「行くな」は「行く」の形のまま否定を付けますが、イタリア語のtuに対する否定命令non parlareは、肯定のparlaという動詞の形をやめて、辞書の見出しの形parlareに戻します。
もう1つの違いは、話しかける相手が1人か複数かで動詞の形自体が変わる点です。日本語の「話して」は相手が1人でも複数でも同じ形ですが、イタリア語はtu(1人・タメ口)とvoi(複数)で語尾が変わります。
potere・dovereとの使い分け
相手に何かをしてほしいとき、命令法のほかにpotere・dovere+不定詞(活用と意味は別の記事で扱います)を使う言い方もあります。直接の命令とどう違うかをまとめます。
| 言い方 | 働き | 例 |
|---|---|---|
| 命令法 | 直接の指示・依頼 | Apri il libro!(本を開いて!) |
| potere+不定詞(疑問文) | 丁寧な依頼 | Puoi aprire il libro?(本を開いてもらえますか) |
| dovere+不定詞 | 義務・必要 | Devi aprire il libro.(本を開かなければなりません) |
命令法のApri!は、相手に直接することを求める強い言い方です。Puoi...?は疑問文にすることで、頼んでいることをやわらげます。Deviは、必要や義務として伝えるときに使います。
例文
各文の下に、単語ごとに「どの命令形か」と「なぜその形か」を書きます。
- Parla piano, per favore!(お願いですから、ゆっくり話して!)
- Parla → parlareのtu命令形。-are動詞の命令は語尾がaになる。
- Prendete i libri, ragazzi!(みなさん、本を取ってください!)
- Prendete → prendereのvoi命令形。現在形のvoiの形とそのまま同じ。
- ragazzi → 複数の相手への呼びかけ。複数の相手にはvoiの命令形を使う。
- Non parlare in classe!(教室では話さないで!)
- Non parlare → parlareの否定のtu命令。動詞を語尾変化させず、辞書の見出しparlareのまま置く。
- Non prendete quel treno!(その電車には乗らないでください!)
- Non prendete → prendereの否定のvoi命令。肯定のprendeteと同じ形の前にnonを置くだけ。
- quel → 指示詞quelloの、子音で始まる男性名詞trenoに合わせた形。
- Va' a scuola!(学校へ行って!)
- Va' → andareのtu命令形(短い形)。長い形のvaiも同じ意味で使われる。
- Sii gentile con gli amici!(友達には優しくして!)
- Sii → essereのtu命令形。現在形のsei(あなたは〜です)とは別の専用の形。
- amici → 定冠詞gliが付いた男性複数形。
練習問題
正しいものを選んでください。
- ( Parla / Parli / Parlare )piano, per favore!
- ( Prendi / Prendete / Prendono )i libri, ragazzi!
- ( Non parlare / Non parli / Non parlate )in classe, Marco!
答え
- Parla(tuの命令形は-are動詞なら語尾がaになる)
- Prendete(複数の相手ragazziに対する命令なのでvoiの形)
- Non parlare(1人の相手Marcoに対するtuの否定命令はnon+不定詞)
参考にした資料
- 級の所属: CILS A1 Sillabo delle strutture morfosintattiche(シエナ外国人大学が実施するイタリア語検定CILSの、A1で出る文法の一覧)「coniugazione attiva … imperativo (forma attiva e negativa alla 2ª persona singolare e plurale)」(2026-09-21閲覧)
- Wikizionario(イタリア語版ウィクショナリー), Coniugazione di parlare・prendere・finire・andare・fare・dire・dare・stare・essere・avere(CC BY-SA)表の全人称を照合(2026-09-21閲覧)
- 実用イタリア語検定 5級レベル筆記 正解への対策ポイント「5級」(このページは命令法を名指ししていません)(2026-09-21閲覧)