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冠詞を​飛ばさず、​一文を​読む

Storylingの学習コンテンツは、名詞の意味が分かっても、その手前の短い語に目を戻す読み方を前提に作ったものです。冠詞を飛ばしても、文の意味は取れます。取れてしまうから身につかない、というのが日本語話者にとっての冠詞の難しさです。その難しさは、頻度の数字とイタリア語で行われた実験の両方に表れています。

20語に​1語が​冠詞

映画とドラマの字幕2億4,000万語を語形ごとに数えた頻度表(OpenSubtitles 2018、FrequencyWords)では、ilが6位、unが7位です。代名詞と同じ形のla・lo・le・gli・l'を除いて、il・un・una・uno・iの5つだけを数えても全体の4.6%、およそ20語に1語です。前置詞と冠詞が結びついたdel・al・nelなどの形が、さらに2.5%あります。

日本語にはこの語がありません。名詞の意味が分かれば文は読めるので、目は名詞に行き、冠詞はその手前を素通りします。

説明を​読むだけでは、​身に​つかない

Benati(2004)は、イタリア語の形容詞の性の一致を、3つの教え方で比べました。規則の説明だけを受けた組は、文を読み取る課題でも作る課題でも伸びませんでした。語尾を見なければ意味が決まらない文を読んで判断する練習を受けた組は、両方の課題で伸びました。説明を読んで表を眺めるだけの時間は、この「説明だけ」の組と同じ条件です。

Ellis(2006)は、入力の中に何度も出てくるのに身につかない特徴を、「学習された注意」で説明しています。目立たない形、母語に無い形、他の手がかりで意味が取れてしまう形は、入力にあっても取り込まれにくく、その注意の向き方を決めるのは母語です。冠詞は1音節で、日本語に無く、名詞だけで意味が取れる語です。3つがそろっているので、目を戻す動きは意図して作るほかありません。

名詞は、​冠詞と​一緒に​残す

読む順は、次の4つ。

  1. 新しい名詞を見つけたら、前後を含めて読み直します。書き留めるときはil libroと、冠詞ごと残します。
  2. 冠詞の説明を開いたら(定冠詞、不定冠詞)、説明に出てきた形を元の文で探します。別々に覚えようとしていたものを、一文の中で確かめるためです。
  3. 前置詞と結びついた形は、元の前置詞と冠詞に分けて読みます(前置詞と定冠詞の結合)。
  4. 読めなかった文は、そのまま残しておきます。あとで開いたとき、訳だけでなく冠詞にも目が向くかが確かめどころです。

学習コンテンツを読み終えることより、元の文に戻って確かめることを優先しています。今の段階を確かめるにはこちらを使ってください(レベル判定)。

参考に​した​資料