話に挟む合いの手(segnali discorsivi)
2026-09-27
イタリア語の会話には、allora、cioè、bohのように、話を切り出したり言い直したりする語があります。これらはsegnali discorsivi(談話標識)と呼ばれ、話の切り出し・言い直し・「分からない」という反応など、働きがそれぞれ違います。magariとinsommaは、場面によって意味が2つに分かれます。
よく聞く合いの手
| 語 | 働き | 例 |
|---|---|---|
| allora | 話の切り出し・転換 | Allora, cominciamo.(それでは、始めましょう) |
| cioè | 言い直し | Vengo, cioè, forse vengo.(行くよ、というか、たぶん行く) |
| boh | 「分からない」という反応 | Boh, non lo so.(さあ、分からない) |
| dai | 促し・軽い圧力 | Dai, vieni anche tu!(ほら、君も来てよ) |
magariとinsommaの2つの意味
magariは、願望を表す「そうだといいな」と、可能性を表す「もしかしたら」の2つに分かれます。Vieni anche tu domani? — Magari!(明日も来る? ― そうだといいな!)は前者、Magari viene anche lui.(もしかしたら彼も来るかも)は後者です。insommaは、要約する「つまり」と、体調や様子を聞かれたときの「まあまあ」の2つに分かれます。Insomma, il progetto è finito.(つまり、プロジェクトは終わりました)は前者、Come va? — Insomma.(調子はどう? ― まあまあ)は後者です。同じ語でも前後の場面で意味が変わるので、alloraやbohのように働きが1つに決まる語とは違う注意が要ります。
合いの手の3つの働き
イタリア語の合いの手は、Treccaniの分類ではたらきによって3つに分かれます。相手との対話を続ける働き、話の内容を言い直したり切り替えたりする働き、話し手の立場や判断を表す働きです。alloraは話の切り出し・転換、cioèは言い直しで、どちらも2つ目の働きに入ります。bohは「分からない」という話し手の判断なので、3つ目の働きに入ります。
日本語との違い
日本語のあいづち(はい・ええ・うん)は、相手の話を聞いている合図として、ほぼ相槌の働きだけをします。イタリア語のsegnali discorsiviは、alloraのように話を切り出す働きや、cioèのように言い直す働きも持ち、相槌だけの語ではありません。bohのように「分からない」を表す語も、日本語のあいづちとは別の反応です。合いの手を日本語のあいづちの感覚でうなずくように使うと、働きを取り違えます。一方、話の間を何かの語で埋めるという発想自体は、日本語の「あの」「えっと」と同じで、間が空くのを避ける感覚はそのまま役立ちます。
練習問題
正しいものを選んでください。
- ( Boh / Allora / Cioè ), cominciamo!(話を切り出すときに使う語)
- ( Dai / Cioè / Boh ), non lo so.(「分からない」という反応)
- Come va? —( Insomma / Magari / Allora ).(体調や様子を聞かれたときの「まあまあ」の答え)
答え
- Allora(alloraは話の切り出し)
- Boh(bohは分からないという反応)
- Insomma(insommaのもう1つの意味)
参考にした資料
- Treccani, Segnali discorsivi(Enciclopedia dell'Italiano)「I segnali discorsivi […] sono elementi linguistici […] di natura tipicamente pragmatica, diffusi in specie nella lingua parlata」。segnali discorsiviの定義と、allora・cioè・boh・daiを含む例の一覧を示す(2026-09-27閲覧)
- Treccani, Vocabolario「magari」「Espressione che manifesta forte desiderio […]」「in posizione incidentale, forse anche, persino, addirittura」。magariの願望の意味と可能性の意味の2つ、および単独の「Magari!」という間投詞の使い方を示す(2026-09-27閲覧)